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朽木ゆり子著「フェルメール全点踏破の旅」という新書本を読んで網羅癖を刺激され、嘗てよりフェルメール作品全点踏破への思いを募らせていた。
尤も海外ではワシントンDCのNational Galleryで「赤い帽子の女」(これは本人作ではないとの説もあり)、ニューヨークのメトロポリタン美術館で「水差しを持つ女」を見ていただけで先は長い。 フェルメール生誕の地・デルフトにほど近いこのデン・ハーグでフェルメール作品を鑑賞するのはこの旅前半の大きな楽しみのひとつであった。 フェルメールの現存する作品は諸説あるが、32~37点とか。 作品数が定まらないのは、贋作や本人のものかの確認が出来ない作品が少なからずあるから。 年に2、3点しか描かない寡作な画家であり、またナチスによる略奪や盗難の歴史もあり、作品そのものだけではなく何かとミステリアスな背景あるフェルメールは以前から興味尽きぬ対象であった。 さて憧れの「マウリッツハイス美術館」にいよいよ入館。 17世紀に建設されたルネッサンス風建物だが、地下から入る階のフロントのフロアは中世とは縁遠い現代的センス溢れる大空間、サプライズであった。 比較的小部屋が多く、観覧は実に快適。 17世紀・オランダ黄金時代最高の絵画をゆっくりと堪能する。 余談とはなるが、窓から見えるビネンホフのお濠さえも、絵画作品のように美しかった。 いやこれまで訪れた内外の美術館のうちでも最も趣味の良い宝石箱のような美術館に思えた。 17世紀のオランダは絵画ブームであったようで、一般家庭でも絵画の需要が強かったことから、画家が同じような風景画や肖像画を量産した時代であったようだ。使う色彩やタッチがどれも良く似ており見続けていると少々飽きが来る。 こんななか、ようやく出会えたフェルメールの「真珠の耳飾りの少女」が眼に入った時の感激は忘れられない。 フェルメールの代表作として日頃眼に触れる機会も多い作品であるが、振り返る少女のミステリアスな眼差し、半開き気味の赤い唇、窓の光を反映する真珠の耳飾り、光が微妙に各部を覆うフェルメール独特の描写に打たれる。 若干視線の焦点が定まらぬ少女は一体何を見ているのであろうか、想像を掻き立てる。 焦点定まらず、とは書いたものの、この少女の視線は実に印象的。 展示部屋全体を支配し、静謐をもたらしていたようだ。 何度もこの絵の前に往来、他の観客が去った後にはかぶりつきで振り返る微笑の少女を独り占めする僥倖を得た。 この作品、「オランダのモナリザ」とも呼ばれるのも合点がゆく。 近くでこの絵を熱心に見ていた若い男性が親切にも「撮りましょう!」と撮影してくれ有難かった。 訊くとニューヨークから来たとのこと。 ニューヨークの銀行に長年勤務し現地にも何度か行っていることを話すと喜んでくれた。彼もまた最近東京に来て良い思い出を持ったことを教えてくれた。 世界は狭いね、ということで彼の親切に感謝して別れる。 1時間ほどの滞在、小ぶりな美術館ではあったが、その質の高さに大変満足して館を去る。 既に頭の中は次の旅程のことで一杯となっていた。 いよいよオランダを出て次の宿泊地ベルギーのアントワープへ向かう。 乗った電車の中でひとつ思い出したことがある。 訪れたマウリッツハイス美術館には、もう一点フェルメール作品が展示されている筈であることを。 「デルフトの眺望」、フェルメールの生地デルフトの水辺の風景を描いた美しい作品である。 解説書などには「真珠の耳飾りの少女」と同じ部屋に展示されていると書かれているが、不覚ながら実際その部屋では全く気付かなかった。 周りの客も注意を向けるような様子はなかったが、自分を含めて「真珠の耳飾りの少女」にばかり気を取られていたせいなのか。もうひとつのフェルメール作品を前にして誰も興奮した様子を見せないなんていうことがあるのであろうか。 それとも良くあることだが、偶々他の美術館なりに貸出しておりその日の展示室には展示されていなかったということもあるであろうか。 既に電車に乗りベルギー国境を越えたところであったが、どうも解せない。 千載一遇のチャンスを逃してしまったかもしれない悔しさに、引き返してもう一度マウリッツハイス美術館に行き確かめてみようかと悩んだほどであった。
by ptaro2009q
| 2017-06-19 10:21
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